T.借入をして賃貸物件を建てる

 

 1.親の土地の上に、親が借入をして、親の賃貸建物 (アパートなど) を建築

メリット

@相続税法上の評価方法(借地権50%、借家権30% 名古屋地区の一般的な住宅街の場合)

 ・プラスの財産 ・・・ 建物(固定資産税評価額×70%)

 ・マイナスの財産・・・借入金の残高(100%)

 相続税では、プラスの財産は小さく評価され、マイナスの財産はそのまま評価されます。

 この差額分だけ、相続税の節税になります。

 さらに土地は貸家建付地として、85%評価になり、15%分が相続税の節税になります。

注意点

@親に家賃収入が入るため、相続財産が増えてしまう

A生前に借入金の返済が進み、借入残高が減ると節税効果がなくなる

B人口減少により、空室増加、家賃下落など、賃貸経営は難しくなる

  

 2.親の土地の上に、子が借入をして、子の賃貸建物 (アパートなど) を建築

メリット

@子に家賃収入が入るため、所得分散や納税資金の準備に有効

注意点

@親の財産に増減がないため、相続税にも増減はない

A人口減少により、空室増加、家賃下落など、賃貸経営は難しくなる

 

U.収益物件の贈与

 

 1.収益物件の贈与とは・・・

  親が所有する収益物件(不動産)を、子や孫、同族会社(子や孫)に贈与することをいう。

 

 2.贈与する相手によって、異なる課税関係 

 

贈与する相手

 

 

税 金

 

5000万円の不動産を

贈与した場合に追加され

る税額

1@.20歳以上の子や孫/他に贈与なし

 (暦年課税方式)

贈与税

(子や孫に課税)

20,495,000円

1A.20歳以上の子や孫/他に贈与なし

 (相続時精算課税方式)

贈与税

(子や孫に課税)

5,000,000円

※相続時に相続財産として精算

2@.子や孫がオーナーの会社

  収益物件の贈与を受けない場合の課税所得

 =繰越欠損金控除後、800万円以上の黒字

法人税等

(会社に課税)

 

19,691,400円

 

2A.子や孫がオーナーの会社 

  収益物件の贈与を受けない場合の課税所得

 =繰越欠損金控除後、±0(黒字赤字すれすれ)

法人税等

(会社に課税)

 

18,429,100円

 

2B.子や孫がオーナーの会社

  収益物件の贈与を受けない場合の課税所得

 =繰越欠損金+当期赤字が5000万円以上

法人税等

(会社に課税)

         

0円

 

  ※税額は平成28年10月1日現在の税率(法人は名古屋市に所在する中小法人の税率)に基づく 

 

 3.節税効果が高いのは、子や孫がオーナーの赤字法人に対する贈与

メリット

@親の財産から不動産が減る

A家賃収入などによって親の財産が増えない

B子や孫の会社に入った収入から、子や孫が給料や配当を得ることができる

CBの金額を生活費や納税資金に充てることができる

注意点

@建物のみの場合、無償返還の届出書を所轄税務署に提出しないと、借地権の贈与認定を受ける

A地価が急激に下がると、メリットが減少する

B登録免許税と不動産取得税が高い

 相続の場合・・・・固定資産税評価額×0.4%

 その他の場合・・・固定資産税評価額×5.0%

Cケースによって同族会社の株価が上がる

D同族会社の行為計算否認により、租税回避行為として、課税を受けるリスクがある

  

V.小規模宅地等の特例の事前対策

 

1.小規模宅地等の特例とは・・・

 @「一定の要件を満たす土地」の

 A「一定の面積」については

 B「一定の割合」で、評価を減額する

 

2.小規模宅地等の特例の事前対策とは・・

  小規模宅地等の減額の特例を受けると、相続税の負担を大きく減らすことができます。

  ただし、この特例を受けるためには、複雑な要件を満たさなければならないケースもあります。

  生前からその要件を満たす準備を行うことを、「小規模宅地の事前対策」 といいます。

  ただし、複雑な要件があるため、実際のケースについては、税理士に相談の上、進めてください。

 

3.小規模宅地等の特例の概要

A.特定居住用宅地等 B.特定事業用宅地等 C.特定同族会社事業用宅地等 D.貸付事業用宅地等

相続開始前は

被相続人または生計を一

にする親族の居住用

相続開始前は

被相続人または生計を一

にする親族の事業用

相続開始前は

特定同族会社への貸付用

(不動産貸付業を除く)

相続開始前は

被相続人または特定同族

会社の不動産貸付業用

その他

複雑な要件あり

税理士に要相談 

その他

複雑な要件あり

税理士に要相談

その他

複雑な要件あり

税理士に要相談

その他

複雑な要件あり

税理士に要相談

評価は▲80% 評価は▲80% 評価は▲80% 評価は▲50%

 ●「D.貸付事業用宅地等」を含めずに特例を受ける場合に減額が適用可能な面積

Aの面積(330u以下)+(B+C)の面積(400u以下)=最大730u

  

  

 ●「D.貸付事業用宅地等」を含めて特例を受ける場合に減額が適用可能な面積

Aの面積 × 200/330 + (B+C)の面積 × 200/400 + Dの面積  =  最大200u

  

W.土地の利用区分の変更

 

 1.土地の利用区分の変更による評価の引き下げ

 ●土地の評価単位は「 固定資産税の課税地目ごと」「土地の利用区分ごと」です。

    この評価単位を利用することにより、評価の引き下げが可能なケースがあります

  @隣接する2以上の土地の利用目的を統一して、全体の評価を引き下げる

    A1つの土地の中に、利用区分の異なる部分を設け、全体の評価を引き下げる

 ●「評価の高い土地」から「評価の低い土地」への変更によって引き下げます
   評価の低い土地(形の悪い土地など)  →   こちらをクリック

 ●ただし、課税を逃れるためと認められる場合は、否認を受けます。

 

2.注意点

   @ 小規模宅地等の特例の適用要件を考慮する

   A 土地を分筆しただけでは、評価単位を変更することはできない

   B 分筆されていても隣接する宅地で、利用区分が同じものは、評価区分は1とする

 

3.土地の評価単位

固定資産税の地目 評価単位
 @ 宅地

原則    利用単位ごと

例1.自らすべて使用している場合は、利用区分にかかわらず1画地

例2.一部に借地権設定、その他を自己使用の場合は、区分してそれぞれ1画地

例3.一部に貸家、その他を自己使用の場合は、区分してそれぞれ1画地

例4.複数の貸付先が借地権設定の場合は、貸付先ごとにそれぞれ1画地

例5.貸家が数棟ある場合は、1棟ごとにそれぞれ1画地

 A 田 耕作単位ごと(市街地周辺農地・市街地農地・生産緑地は利用単位ごと)
 B 畑 耕作単位ごと(市街地周辺農地・市街地農地・生産緑地は利用単位ごと)
 C 山林 1筆ごと(市街地山林は利用単位ごと)
 D 原野 1筆ごと(市街地原野は利用単位ごと)
 E 牧場 1筆ごと
 F 池沼 1筆ごと
 G 鉱泉地 1筆ごと
 H 雑種地 利用単位(同一目的の雑種地)ごと

X.不動産管理会社の設立

 

1.概要

 次の @ → A → B の手順で進む

 @子や孫がオーナーの不動産管理会社設立(運用形態を選ぶ)

 A不動産管理会社に収入が入る

 B子や孫は不動産管理会社から、給与や配当を得る

 

2.メリット

 @親の不動産収入が減少するため、相続財産が増えない

 A子や孫が収入を得ることができる

 Bその収入を生活費や納税資金、貯蓄に充てる

 

3.不動産管理会社の種類とそれぞれの留意点

種  類 A.管理委託型 B.一括借上型 C.不動産取得型
1.管理会社の事業内容

@親の賃貸物件について

A不動産収入などの

B管理を行う

@親の賃貸物件のうち

A建物のみを一括で借り上げ

B住民に又貸しする

@親の賃貸物件のうち

A建物のみを買取り

B住民に貸す

2.建物の所有者 親のまま 親のまま 親から管理会社へ

3.親の家賃収入

  と節税効果

家賃収入=多

節税効果=小

家賃収入=中

節税効果=中

家賃収入=無(相続財産

が増えない)

節税効果=大

4.管理会社(子)

の収入と所得分散効果

管理会社(子)の収入=少

 所得分散効果=小

管理会社(子)の収入=中

所得分散効果=中

管理会社(子)の収入多

所得分散効果=大

5.相続発生時の評価

 借地権割合=0.5

 借家権割合=0.3

 のケース(具体例)

土地=×0.85

  (貸家建付地)

建物=×0.70

  ( 貸 家 )

土地=×0.85

  (貸家建付地)

建物=×0.70

  ( 貸 家 )

土地=×0.80

無償返還に関する届出あり

建物=×0.00

所有者は管理会社

建物譲渡代金=残高

(子の管理会社に対して

債務免除すれば、会社に

対して法人税等が課税 

→ 法人税率にて財産移

転が可能)

6.税法上の難易度
7.ポイント

@管理会社の設立方法

A社会保険料の負担・回避

B管理料の設定と業務内容

C親が早く亡くなると効果少

@管理会社の設立方法

A社会保険料の負担・回避

B親と管理会社間の家賃設

定と契約書の内容

C親が早く亡くなると効果

@管理会社の設立方法

A社会保険料の負担・回

B建物買取コスト(譲渡

所得税・住民税・登録免

許税・不動産取得税な

ど)によっては不利

C親が早く亡くなると

不利

8.備考 ・手軽だが効果は少ない ・効果も難易度もまずまず

@通常のケース

「土地の無償返還に関す

る届出書」を提出して借

地権の認定課税を避ける

→ うまくいけば効果大

A管理会社に大き繰越

欠損金があるケー

「土地の無償返還に関す

る届出書」の提出や「相

当の時代」の支払いをせ

ず、あえて借地権の認定

課税を受ける。繰越欠損

金と相殺されるため法人

税の課税は受けない。こ

の場合、相続発生時の親

の土地の評価は×0.5

0になる→ うまくいけ

ばより効果大

 

Y.土地の評価引き下げポイント

 

  

 このコーナーでは、相続税や贈与税の負担を減らすために、

 評価額が下がる可能性のある土地 を、ご紹介します。

 実際に評価額を下げられるかどうか?

 評価額をいくら下げられるのか?

 これらについては、必ず税理士等の専門家にご相談ください。  

 
  下の一覧の見方     ◎=評価減を検討すべき  ×=評価減は難しい

  


1.形に特徴のある土地

  

  ◎ 奥行距離の長い縦長の宅地
                
  ◎ 奥行距離の短い横長の宅地
                
  ◎ 道路に接していない宅地
                  
  ◎ 道路に接する部分が少ない宅地
            
  ◎ 入口が細い通路の宅地
                    
  ◎ 間口の狭い宅地
                          
  ◎ 形のよくない宅地
                             
  ◎ 道路と土地の間に川・用水路がある宅地

  

                
2.地形に特徴のある土地
                      
  ◎ 敷地の一部が斜面の宅地
                             
  ◎
高低差のある宅地

  

               
3.面積に特徴のある土地
                      
  ◎ 
近隣と比べて著しく狭い宅地
                             
  ◎
登記面積より狭い宅地
                             
  ◎
マンション建築不可の広大地

  

                
4.環境のよくない土地
                      
 
◎ 騒音・震動の大きな鉄道沿線の宅地
                             
  ◎
日照時間の乏しい宅地
                             
  ◎
墓地の隣の宅地
                             
  ◎
下水処理施設の隣の土地

  

                
5.利用制限のある土地
                      
  
◎ 一般人も通行する私道
                             
  ◎
狭い道に接する土地
                             
  ◎
高圧線の下の土地
                             
  ◎
地下鉄の上の土地
                             
  ◎
用水が地下を通る土地
                             
  ◎
都市計画道路の予定地
                             
  ◎
都市公園用地としての貸地
                             
  ◎
土地区画整理事業施行中の土地
                             
  ◎
自宅敷地内のお稲荷、鳥居など地
                             
  ◎
文化建造物の敷地

  

                
6.借家の底地
 

   土地名義 = 自分  建物名義 = 自分  借りている人 = 他人
 ×  土地名義 = 自分  建物名義 = 自分  借りている人 = 親族
 ×  土地名義 = 自分  建物名義 = 親族  借りている人 = 他人
 ×  土地名義 = 自分  建物名義 = 親族  借りている人 = 自分
 ×  土地名義 = 自分  建物名義 = 親族  借りている人 = 親族
 ◎  土地名義 = 自分  建物名義 = 他人  借りている人 = 他人
 ◎  土地名義 = 自分  建物名義 = 他人  借りている人 = 自分
 ◎  土地名義 = 自分  建物名義 = 他人  借りている人 = 親族
 ◎  土地名義 = 自分  建物名義 = 会社  借りている人 = 他人
 ◎  土地名義 = 自分  建物名義 = 会社  借りている人 = 自分
 ◎  土地名義 = 自分  建物名義 = 会社  借りている人 = 親族

                     
 

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

 

   

 

7.その他、他人の権利が存する土地
                      
  
定期借地権の設定されている土地
                             
 
◎ 地上権の設定されている土地

  

                
8.地下に問題のある土地
                      
  
◎ 土壌が汚染した土地
                             
 
文化財が埋蔵されている土地
                             
 
産業廃棄物が埋まる土地
                             
 
液状化被害を受けた土地

  

                
9.農地や山林
                      
  
宅地転用に擁壁工事が必要な土地
                             
  ◎ 
生産緑地
                             
  ◎ 
貸し付けている農地
                             
 
道路面より高さの低い田畑

 

  

▲このページのトップに戻る